この記事では不定代名詞「one」について書いていこうと思います。まず、不定代名詞というのは、代名詞(繰り返し出る名詞の代わりに使われる名詞)の1つで、不特定のものの名前を繰り返すときに使われる代名詞です。言葉にすると難しくなるので、「不特定もの」というイメージをまず持ってもらえれば大丈夫です。
文法問題では、よく「it」と「one」が選択肢に出てきて、正しいものを選ばせる、というものがあります。どちらも「それ」と訳すことのできる、物を受ける代名詞です。では、どのように違うのか見ていきましょう。
「it」と「one」の違い
それぞれの意味を説明します。
it …特定されるものの名前を受けて、「それ」と言いたいようなときにつかわれる。
one …不特定のものの名前を受けて、「それ」と言いたいようなときにつかわれる。
この、「特定」なのか、「不特定」なのかというのが大切です。実際に、例文で確認しましょう。
A:I lost my watch. It was my favorite.
(訳)時計を失くしました。それはお気に入りだったのに。
B:That’s too bad. You should buy a new one.
(訳)それは残念ですね。新しいものを買うべきです。
Aのセリフにある「it」は、「my watch」の代わりをしています。この「私の時計」というのは、ほかのものでもない、ただ1つの私の時計のことで、「特定」がされているものです。
Bのセリフにある「one」は、「単なるwatch」の代わりをしています。「my watch」の代わりをしているのではありません。「私の時計」はもうなくなっていて、その「私の時計」を買うことはもうできませんよね。Bは「不特定」の新しい時計を買うべきだと言っているのです。
もし、代名詞を使わずに英文にするこんな感じです。
A:I lost my watch. The watch was my favorite.
(訳)時計を失くしました。その時計はお気に入りだったのに。
B:That’s too bad. You should buy a new watch.
(訳)それは残念ですね。新しい時計を買うべきです。
Aは「the watch」と言っているのに対して、Bは「a watch」と言っているわけですね。このtheとaでも特定・不特定が分かりますよね。
oneでこんがらがる複数形「ones」
「不特定」のものの名前の代わりができるoneですが、複数のものも受けることができるのでしょうか。実はできる場合とできない場合があるので、場合ごとにまとめていきます。
①修飾語がつく可算名詞(できる)
修飾語とは名詞を説明するような語です。例文を見てみましょう。
I ate all bananas. I have to buy new ones.
(訳)バナナを全て食べてしまった。新しいものを買わないと。
ここでは「ones」は「bananas」の代わりをしています。「bananas」は複数形なので、受ける「ones」も複数にします。また、「new」が「ones」を修飾しているのもポイントです。逆に言えば、この「new」がなければ、「ones」は使えないのです。
×I ate all bananas. I have to buy ones.
②修飾語がつかない可算名詞(できない)(them)
ついさっき上で×したとおり、修飾語がつかない可算名詞は「ones」で受けることができません。しかし、その場合は「them」で受けることができます。
I ate all bananas. I have to buy them again.
(訳)バナナを全て食べてしまった。またそれらを買わないと
③不可算名詞
「one」または「ones」は不可算名詞の代わりをすることができません。
× I like red wine better than white one.
〇 I like red wine better than white (wine).
(訳)私は白ワインよりも赤ワインの方が好きだ。
不可算名詞は「one」で受けることができません。上の文で言うと、「wine」です。繰り返す場合は省略するか、そのままもう一度使います。
以上itとoneの違いと、複数形onesについてでした。もしよかったらほかの記事も見てみてください。